4月29日の俺の妄想
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「やはり秋葉原は俺の想像を遥かに超えていたな」 メガネをかけ直しながら男は言う 男って言うか俺だ 俺って誰だよとか突っ込むなよ 今から説明してやるから 俺の名前は山田智久、O型、身長174cm、体重は・・・秘密だ 出身は和歌山県 和歌山ってどこにある?とか和歌山の名物って?とか聞かれるほどの田舎だ 今は大学に受かって岡山に住んでる ん?岡山のどこに住んでるかって? それはあれだ、俺の知り合いにでも聞いとけ 「ここでアキバ見学してる俺も立派なオタクか」 和歌山っていうド田舎に住んでた俺でも 今のご時勢はインターネットっつう便利なものがあるからオタクになるのはそう時間がかからなかった 「ま、俺の趣味はちょっと特殊だけどな」 知ってる奴は知ってる。俺の趣味 いい趣味ではないな、はっきりいって でも、好きなんだからしょうがない ま、俺の趣味はおいといて 今はゴールデンウィーク真っ只中 「時期的にもベストだな」 意味の分からないことを言いながら俺は帰りの電車へと向かっていく あぁ、ちなみにここへのリンクで説明してると思うが これは完全に妄想話なのでまともな人は見ないほうがいいぞ 俺の趣味を鼻で笑い飛ばせるくらいの力量の人だけ読んでくれ 「さて、そろそろ帰るか・・・・・・」 ちなみに、俺の両手は手ぶら、もちろん紙袋なんて持ってない 俺は場の空気を楽しむのが好きなので いわゆる、見てるだけ〜というやつだ まぁ、単純に金が無かったっていう理由もあるんだけどな・・・ アキバともお別れのときである 駅へと続く道には大量の人が歩いている 「やれやれ・・・俺はどうも人が沢山いると落ち着かないな」 そういうことを言ってるから引きこもりになるんだろうがな 「とと、信号は・・・・間に合わんか」 目の前の信号は走っても間に合いそうにも無かった 「ま、次の電車までには時間があるし、問題ないか」 しばらくして信号が青に変わる 和歌山じゃ考えられないほどの人が一斉に渡りだす 「人が多いって言うのも考えものだねぇ」 そういいながら、すれ違う人々を見渡す 中には非常に濃い方々もいらっしゃるわけだが・・・・・ ふっと、目線が交差点前のビルのほうへと移る そこには、普通の人ならば気にもしないであろうが 俺の目には確かにピンポイントで映し出されるものがあった 「可愛いなぁ・・・・・」 思わず口に出してしまった 勿論、ビルに描かれている美少女の絵ではない その下にちょこんと座っている少年 まぁ、ここまでくればどういう話かは見当がつくとは思うがね 何ていうか、俺の理想とする者を忠実に再現したみたいな感じだった 華奢な体に、ストレートヘアー、丸い輪郭、大きな瞳 そして何より、従順な犬のような雰囲気 自然と俺の脚はその少年のほうへと向かう 少年も俺が自分のほうへ来ているのを知ったらしくこちらを見ている 10秒もしないうちに俺の体は少年の目の前まで来ていた 少年はゆっくりと顔を上げて・・・・・・ 「お兄さんはいくら出してくれるの?」 勿論、そんなことが現実にあるはずも無い 分かってはいても、その少年の声に思わず口が開いてしまう 「君は・・・・ここで何をしてるの?」 そう、少しばかり混乱した頭で精一杯絞って出た言葉 少年はというと、にっこりと笑いながらこちらを見ている 「うん、多分お兄さんの思ってる事かな・・・・」 痛いところをつかれた そう、そういうやましい事が無かったかというと嘘にはなる 淡い期待が現実になると人は混乱するものだ 「君はずっとこんなことをしてるの?」 自分でも分かる、声が裏返ってるの 手には汗が・・・・・・でてねえよ さすがにそこまでデブじゃねえよ とか、頭の中で突っ込んでるところが俺らしいって言えば俺らしいんだけどな 「そだよ、で、お兄さんもそれが目的?」 そうです・・・・・まぁ、そう答えたいところだが これは現実、俺は最低限そこは理性で抑えるよ 何より、金で買った性なんて欲しくないね 「残念ながら・・・・・」 メガネを指で押し上げながら言う 「ふふ、でも、そっちの方は正直だね」 少年は少し視線を落とす まぁ、あれだ、俺のはすごく敏感なので少しの妄想で活性化してしまう 「む・・・これはあれだ、自然現象だ。意思では抑えられんよ」 とまぁ、くだらない言い訳をしてみるわけだが クスクスと少年は笑っている 何だか悔しいじゃないか 俺はどっちかっていうと攻めるほうなんだがな まぁ、現実と妄想は違うって事だな 「その・・・・嫌じゃないのか?知らない奴とするなんてのは・・・?」 俺は率直に疑問をぶつけてみた というよりは、話題を変えたかっただけだけどな 「嫌に決まってるでしょ、大人だって好きで仕事してる人なんてほんの一部じゃないの?」 さらりと切り返される 「む・・・・確かにそうだな」 いかんな、どうも向こうのペースに乗せられてる 「でも、お金を稼ぐためには仕方が無いんだよ」 少し少年の表情が曇る ・・・・これは触れちゃいけないことだったかな・・・・ しかし、どう見ても小学生くらい 俺のセンサが反応したんだから間違いない どんなセンサだよとか突っ込みは各自でお願いするぜ 「どうしてお金が必要なの?何か買うため?」 とりあえず聞いてみる、詮索するより直接聞いたほうが早い こういう所が人に嫌われるんだろうな・・・・ 自分で言って鬱になる 「・・・・・・お兄さんみたいな人にはわかんないだろうね」 急に言葉が刺々しくなった やっぱり俺は人に嫌われる天才か・・・・・ こうなれば自棄だな 「まぁそう言わず、教えてくれないかな?」 クソ重たい空気が俺と少年の間に流れる いや、勿論俺のせいだ でも、ここまでくれば死なば諸共 I can flyである 「生活費のため」 少し怒った口調で少年は答える そうか、生活費か、そりゃ大変・・・・・ 「って・・・生活費って・・・・お父さんかお母さんは?」 「居ないよ」 ドツボにはまる一方だなこりゃ 「じゃあ、今は一人で暮らしてるの?」 少年はより一層不機嫌になって 「借金取りと一緒に」 そう答えた Oh・・・・・・ ハードな人生送ってるな・・・・・・ あれだ、親が借金、払えず子供を人質に・・・・・・ そんな漫画の世界な想像が俺の頭をよぎる まぁ、男をとってもしょうがないだろうがな 女なら買い手はいくらでもいそうだがな で、それも空想の話 現実にそんなことが行われてるかどうかなんてパンピーの俺が知る由も無く・・・・ 「・・・・・・・・・」 次の言葉が見当たらない 沈黙が続く 何かを言おうと必死にあがいてみるが結局口が開くことは無かった 沈黙を破ったのは少年のほう 「ふぅ、お兄さんみたいに人のプライベートに土足で上がってくる人初めてだよ」 半ばあきれたように少年は言った 「俺はアメリカンスタイルでどこに言っても靴は脱がないんだよ」 何言ってんだろ俺 最近サブイギャグが増えてきた気がする 俺まだ20なのになぁ おっさんと呼ばれるまでそう遠くは無いか・・・・・・・ 「・・・・・・・・・ばっかみたい」 うん、分かってるから、自分でも痛いって分かってるから 学校でも俺、オヤジギャグ言いまくってるから しょうがないだろ、出てくるんだから・・・・・ うん、でもあれだ、少しは少年の表情も明るくなったじゃないか 俺もやるジャマイカ こんなこといってるから俺ダメなんだな・・・・・・ うん、でもいつまでも少年っていうのもあれだな・・・・・ 「そういえば、まだ名前聞いてなかったよな?」 ま、当然の答えが返ってくるだろうと思いつつ・・・・ 「まず自分から名乗るのがお決まりじゃない?」 はい、その通り、予想道通りの答えをアリガトウ 「我輩は猫である、名はまだ無い・・・・」 決まった・・・・・・・ 何がだよとか、突っ込みはどうぞご自由に 少年の反応を見る 「お兄ちゃん・・・・本当に頭悪い人?」 少年は冷たい目線を送っていた うーむ・・・・・なにやら不評のようですなぁ 俺の中では100点満点の切り返しだったんだが まぁ、それはともかく、俺は見逃さなかったぜ お兄さんからお兄ちゃんになってたこと 別に書き間違えたわけじゃないぞ・・・・絶対に! フッ・・・・やはりボケは人の心を開かせる効果があるのだよ とか、言ってみるテスツ 「まぁ、ボケはそのくらいにして、俺の名前は山田智久って言うんだ」 とりあえず、真面目に言ってみた 「ふぅーん・・」 ふぅーんって・・・・・ まぁ、人の名前聞いてもそんなもんか・・・・・・ 「で、ちゃんと言ったから教えてもらおうかな君の名前を」 「個人情報保護だからいえない」 ・・・・・・・・・ そうきたかコノヤロウ 意外なカウンターパンチを食らってふらついたがその程度でダウンは取らせないぜ 続く・・・・・・・・今朝4時で眠いんだこの野郎!!! |